消化器内視鏡検査

内視鏡検査

1.検査の目的

上部消化管とは食道、胃、十二指腸を指します。下部消化管とは小腸、大腸を指します。一般的な内視鏡検査は小腸を除くこれらの場所にできる病気(炎症・潰瘍・ポリープ・がんなど)を見つけ適切な治療を考えるために行われます。

例えば胃がん発症への関与が明らかとなっているヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療が2013年よりピロリ菌感染による慢性胃炎まで保険適応が拡大されていますが、保険治療を行うには内視鏡検査が必須となっています。また、慢性的に胃痛や胃もたれなどを呈する病気の一つである機能性ディスペプシアは、かつては胃下垂、神経性胃炎などといわれた比較的ありふれた病気ですが、内視鏡検査により胃に異常がないことの確認が診断上重要になります。またがんなど悪性の病気を疑う場合、炎症の原因を調べる場合には内視鏡越しに組織の一部を採取し顕微鏡で観察する組織検査が必要になるケースもあります。
大腸も同様に他検査で代用が出来ず、内視鏡で直接観察し組織検査をおこなわないと診断に至らない病気があります。

このように、まず内視鏡検査を行わないと確定診断、治療に至らない病気が多数あるため、気軽に検査が受けられるよう当院では上部消化管は鼻からの胃カメラ、経鼻内視鏡検査を中心に、下部消化管は苦痛軽減のため可能な限り鎮静剤、鎮痛剤を使用し大腸カメラを行っております。

2.経鼻(鼻から挿入)と経口(口から挿入)内視鏡検査の違い

上部消化管の内視鏡検査には、経鼻(鼻から挿入)と経口(口から挿入)の2種類あります。それぞれのメリット、デメリットをご説明します。

経 鼻

メリット
  • 鼻・のどの麻酔のみで、鎮静剤なしで行える方がほとんど
  • 嘔気、苦痛が少ない
  • 検査中の会話が可能
  • 検査後の経過観察・休養は不要
  • 車など運転制限なし
  • 検査後の仕事が可能
など ※経鼻内視鏡でも不安感、恐怖感が強く鎮静を希望される方は事前にご相談ください。
デメリット
  • 鼻腔の狭い方や鼻に病気のある方は出来ない
  • 鼻痛・鼻出血が起こり得る
  • 内視鏡治療はほとんど出来ない
など

経 口

メリット
  • 画質などのカメラ性能が優れている
  • 送気・吸引が速いため検査時間を短縮出来る
  • 病変切除、止血処置、異物回収など治療を行える
など
デメリット
  • のどの麻酔を行っても鎮静剤なしではかなり苦しい検査のため、多くの方が鎮静剤を必要とする
  • 鎮静剤使用は呼吸が弱くなる、血圧が下がるなど副作用の恐れがある
  • 検査後もしばらく院内で経過観察・休養が必要
  • 検査当日は車・バイク・自転車などの運転は不可
  • 重要な判断を伴う仕事を控える必要がある
など

3.バリウム検査との違い

これまで胃がん検診はバリウム検査で行われていましたが、現在では様々な研究において内視鏡検査の死亡率減少効果が確認され、内視鏡での胃がん検診が可能になっています。

 バリウム検査のメリット
  ①胃全体像が把握できる、
  ②内視鏡検査に比し恐怖感が少ない
  ③検査可能な施設が多い
  ④麻酔薬アレルギーの恐れがない、など
・・・しかし本来検診の目的であるがんを見つける能力は、内視鏡が圧倒的に優れています。

例えれば、バリウム検査は影絵を見て何であるかを推測するのに対し、
内視鏡検査は影絵の対象を直に見て判断出来ます。

影絵同様、バリウム検査は白黒の濃淡でしか表現出来ませんが、直接観察できカラー画像の内視鏡はわずかな色の違いも観察できます。また内視鏡検査では必要に応じて組織検査も行えます。そもそもバリウム検査で異常を認めた場合の精密検査として内視鏡検査が行われることから優位性が明らかです。

4.大腸内視鏡検査

当院では主に健康診断での便潜血検査陽性の方、下痢、便秘などの便通異常がある方に対して大腸内視鏡検査を行っています。検査に伴う苦痛は患者さん自身の緊張度、感じ方、大腸の形、癒着などにより様々です。鎮静剤無しで行える方もいますが大腸検査が初めての方が多いため、検査前の問診・診察で問題なければ、苦痛軽減のため鎮静剤、鎮痛剤を使用し検査を行っています。上記でも書いた通り副作用・合併症予防のため血圧、呼吸などを厳重にモニター管理しながら検査を行います。当院では外来対応可能と判断したポリープ(小型のもの)に限りそのまま切除も行っています。
なお鎮静剤使用、ポリープ切除いずれも少なからず合併症が起こり得るため、事前にご希望を伺ってから行います。

以上の通り、消化器疾患の多くは診断・鑑別・治療のために内視鏡検査を避けて通れません。
内視鏡手技、機器などは日々進化し苦痛が緩和されてきていますが、検査を受ける患者さん側からすればいくら楽になっても大なり小なり決心、心構え、覚悟が必要になると思われます。

患者さんの心配や苦痛を緩和すべく、できるだけお待たせせずに検査を実施したいと考えておりますが、予約混雑状況によっては検査が先の日程になってしまうこともあります。検査実施日までの間に、症状が悪化した、新たに気になる症状が出てきたなどありましたら、すぐに受診をしてください。

電話番号0459010025